元横綱白鵬が退職、このことから今後の相撲協会について考える

相撲協会関連

元横綱白鵬の宮城野親方が日本相撲協会を退職することになりました。

現役時代に史上最多の45回の優勝、双葉山に次ぐ63連勝など数々の大記録の持ち主だけに、今回の退職報道は大相撲協会にとって大きな出来事であると思います。

今回は宮城野親方の退職から今後の相撲協会はどうあるべきか、ということをファン目線でつらつらと述べていきたいと思います。何様のつもりだと思われるかもしれませんが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

私は現在大学生で、会社の組織についての知識は何も持っていないので相撲協会の組織制度などについて難しい話をするつもりはありません。あくまでファン目線で「ここはどうなんだろう?」と思うことについて無知ながら書かせていただきます。

なぜ白鵬は退職に追い込まれたのか?

過去にも指導法やメディア対応で協会とズレがあった宮城野親方ですが、今回の退職の大きなきっかけとなったのは昨年2月の宮城野部屋内での暴力事件です。

宮城野親方は暴力事件の報告が遅れたことに関する処罰として親方としての階級降格・減俸処分を課されました。

さらに、相撲協会は宮城野部屋・宮城野部屋の後援会を無期限で閉鎖。宮城野部屋の弟子たちや親方自身は伊勢ヶ濱部屋へ転籍し、伊勢ヶ濱部屋での指導・稽古を続けていました。

ここで注目されるのは、部屋の閉鎖の期限が定められていないことです。

部屋の閉鎖・本来の職務遂行が困難である期間が1年以上続きました。

待てど暮らせど理事会では宮城野部屋の問題は議題に上がらず。

宮城野親方が不遇な相撲協会の対処に耐えかねず、退職したという形になりました。

愛された?恐れられた?白鵬という異端の王者

横綱白鵬は、まさに”平成・令和の相撲界”を象徴する存在でした。


優勝回数は史上最多の45回、通算勝利数1187勝、幕内勝利数1093勝など、記録の面ではほぼすべてを塗り替えた横綱です。

しかし、エルボー(かち上げ)を駆使した激しい立ち合い・張り手や変化・睨み・取組後のガッツポーズなどは「危険すぎる」「横綱の品格に相応しくない」と批判されることもありました。

横綱の重圧の中、良くも悪くも勝利にどこまでも貪欲な力士だったと筆者は考えます。

そんな力士だったからこそ、伝統重視の相撲界を何か変えてくれるのではないか、という期待感も込められていたかもしれません。

宮城野親方の存在は、賛否が分かれるからこそ大きな意味を持っていたように感じます。

そんな宮城野親方が、協会という伝統重視の組織の中でうまく生かされずに自ら去る形になったという事実は、「相撲協会ってどうなん?」という疑問を残していきました。

ここで改めて、今回の件を通じて筆者が相撲協会について疑問に思うことを挙げていきます。

疑問①なぜ宮城野部屋”だけ”厳しい処分なの?

確かに暴力事件は、指導者が防止すべき重大な問題であり、部屋として責任を問われるのは当然のことです。

しかし、同様の問題が他の部屋でも起きていたという情報があるにもかかわらず、なぜか宮城野部屋だけが厳しく処分されたように見えるという点については、まだ何も説明がされていません。

他部屋の弟子による未成年飲酒、暴力的指導などについて、メディア報道があっても、協会が明確に調査や処分をした形跡が見えないケースもありました。そしてそれらがあいまいなまま収束していった一方で、宮城野部屋についてはかなり厳しい姿勢で対応され、最終的には親方の退職という形にまで発展してしまいました。

何が問題とされ、誰に・どのような処分がなされるのか」に一貫性がないように部外者が感じてしまうというのは一つの問題に思えます。

疑問②理事長が変わらない相撲協会に未来はあるの?

現在の八角理事長は2015年から就任しており、すでに在任10年目に突入しようとしています(※2025年現在)。その間、貴乃花親方の退職、暴力事件の続出、若手力士の不祥事、そして今回の白鵬の退職など、相撲界には多くの「改革が必要な出来事」が起きてきました。

しかし、理事長が続役することで体質が温存され、協会全体に「変わらなくていい」「新しいことはやらなくていい」という空気が流れてしまっているように感じます。

相撲協会のトップである理事長が長く交代しないという状況は、文字だけ見れば「安定の象徴」のように見えますが、支配的構造によって

・新しい考えを持つ親方の声が届きにくい(届かせることを諦めてしまう)

・外部からの改革提案が採用されづらい

・問題が起きても、協会の体質が変わらない

という体制が続いてしまっています。

もっと単純に、「現在の力士が、引退後も働きたいと思える組織になっているのか?」と考えてもいいかもしれません。

給料は良いかもしれませんが、閉鎖的体制の中、良くも悪くも全く空気が変わらない環境は、労働環境として見直すべき点も多いと思います。

まとめ:白鵬退職から見える”今の相撲界”の姿

ここまで見てきたように、白鵬の退職は一人の親方の去就にとどまらず、相撲協会の体質や運営の在り方に多くの問いを投げかけています。

・不祥事への対応の不公平・不透明さ

・理事長の長期政権とその影響

・改革の芽が摘まれていく構造


これらはすべて、「伝統」という言葉の裏で、相撲協会が変化を避けてきた結果だと筆者は考えます。

守るべき歴史と文化は守りつつ、悪い部分を見直すことで、未来の大相撲界に「本当の意味での伝統」を残していけるのではないでしょうか。

小娘小話:理事長だって元力士!

「理事長」と聞くとなんだか組織の中のとんでもなく偉い人とイメージしてしまいますが、

よくよく考えてみると、理事長だって元力士なわけです。

何度も土俵に立ち、何度も負け、悔しい思いもしているはずです。

現在の大相撲とは少し違うかもしれませんが、部外者より確実に大相撲を考えるにはうってつけの存在です。

「あの頃の気持ち」を少しでも思い出して、今の時代の力士になったつもりで、今の大相撲界に必要なことを考えてほしいと思ってしまいます。

そして、そんなことを考えられる方が上に立ってほしいと思います。

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